パリの観覧車(グラン・ルー)～ベル・エポックを探して～

ピアニスト・下田聖子の初のアルバム。パリに満ちた文化の香りを感じさせてくれるような音楽をテーマに、異文化であっても新しいものをいち早く取り入れ自分のものにする感覚と、過去から受け継がれるものに敬意を持ちながら新たな命を吹き込んでいく逞しさもある、そんな多様な音楽を気軽に聴けるように、少しずつ取り入れて選曲している。憧れと少しばかりの疎ましさも感じながら、パリの街を観覧車から眺めるように、細かい芸術運動に囚われるこのなく、広い視点から俯瞰して感じることで、いつもとはまた違った作品の顔が見えるアルバムで、フランス人の作曲家だけでなく、パリで大活躍をしたショパン、リストといった一世代前の作曲家も入れ、土壌の上に19世紀末からのフランス音楽が生まれてきたという流れをリスナーに再認識させるような作品。またクラシック音楽を聴かない人も自然に聴けるような耳馴染みのある作品を意識して選曲。レコーディングはより自然なピアノを再現するため今では非常に贅沢なアナログ録音を行い末永く愛聴される作品に仕上がっている。