籠の中の乙女

健全な家庭に、狂気は宿る。『ロブスター』が大きく話題となり世界の映画界が注目するヨルゴス・ランティモス監督の長編デビュー作、待望のDVD再リリース。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリを受賞し、ギリシャ映画としては32年ぶりとなるアカデミー賞(R)外国語映画賞にノミネートという快挙を成し遂げた本作『籠の中の乙女』は、家族の絆を誰にも壊されたくない父親の「妄執」と、それに振り回されて育った子どもたちの生活を、独創的な視点で描き、世界各国の映画祭で高く評価されている。――ギリシャの郊外にある裕福な家庭。だが、一見普通にみえるこの家には秘密があった。外の世界の汚らわしい影響から守るために、両親が子どもたちをずっと家の中だけで育ててきたのだ。 邸宅の四方に高い生垣をめぐらせ、「外の世界は恐ろしいところ」と信じ込ませるために作られた"厳格で奇妙なルール"の数々。彼らの生活は、まったく普通のものではなかったが、子どもたちは純粋培養の中すくすくと成長し、幸せで平穏な日々が続いていくかのように思われた。しかし、ある日父親が年頃の長男のために、外の世界からクリスティーナを連れてくる。彼女の出現によって、子どもたちの心には様々な変化が起き始めるのだった・・・。