インド、オーストラリア、日本、アメリカ、メキシコ、コスタリカ、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、チリ、プエルトリコ、カナダ――アジア/オセアニア地域から北・中・南米大陸にまで至った歴史的ワールド・ツアーの第1幕。各国の名だたるスタジアム / アリーナを軒並みソールドアウトにし、およそ50万人を動員したアイアン・メイデン『SOMEWHERE BACK IN TIME WORLD TOUR』のファースト・レッグは、かくして大きな成功を収め、ついにはバンドの旅程を2009年4月2日のアメリカ・フロリダ公演まで、1年以上に亘って延長させることとなった。

ツアー開始直後の2008年2月に実現した東京・横浜での公演を体験された向きなら御存知のとおり、この『SOMEWHERE BACK IN TIME WORLD TOUR』は、いわゆる通常の新譜サポート・ツアーとは異なる、特別な企図をもって進められたものだった。つまり、“80年代の楽曲ばかりでセットリストを組む”という“縛り”である。むろんこれで、彼らはただノスタルジーをかき立てようとしていたわけではなかった。デビュー30周年に迫らんとする栄光のキャリアを築き上げてきたベテランがやりたかったのは、さらなる未来へとバンドを推し進めるべく、改めて輝かしい過去を振り返り、世界中のファンに今いちど感謝を伝えておくこと。それを実現させるために、彼らは今回、“魔法の絨毯”を手に入れた。機体にお馴染みのアイアン・メイデンのロゴとマスコットのエディが描かれたカスタマイズ仕様のボーイング757=通称“エド・フォース・ワン”である。

フロントマンのブルース・ディッキンソン(ヴォーカル)自らが操縦桿を握り、約50人のメンバーとクルー、12トンにも及ぶ機材とステージ・セットをすべて積み込み、およそ70,000kmを旅した“エド・フォース・ワン”の雄姿は、間違いなく、各国のヘヴィ・メタル・ファンを誇らしい気持ちにさせたことだろう。そしてまた、第2の全盛期といえるほどパワフルでエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げるバンドの勇姿を目の当たりにして、体の底からわき上がってくるような感動を覚えた人も少なくないはずだ。“アイアン・メイデン”デイに指定された2009年4月21日(火)、世界35ヶ国のデジタルシネマで一斉公開される『フライト666』は、ほとんど地球を周回する規模となった『SOMEWHERE BACK IN TIME WORLD TOUR』ファースト・レッグの模様をつぶさに収めた、ファン必見のツアー・ドキュメント・ムービーである。

画期的な試みとなったこの『フライト666』、製作を担当したのは、『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』『グローバル・メタル』でお馴染み、カナダ・トロントに拠点を置く『BANGER PRODUCTIONS』。バンド初となる“ワールド・ツアーへのオールアクセス許可”を与えられた2人の幸運なメタル・ファン=スコット・マクフェイデンとサム・ダンによって、オン / オフ・ステージの別なくありのままフィルムに収められた“素顔のアイアン・メイデン”は、長らく彼らを追い続けてきた筋金入りのファンにさえも、きっと未体験の驚きと新鮮な興奮を運んでくれるに違いない。あるいは、もしかしたら、画面に向き合っている間、自分がまるでその場にいるかのような錯覚に陥ることもあるかもしれない。世界の空を駆け巡る“エド・フォース・ワン”、白熱のステージと狂熱のオーディエンス、ロックンロールに生きるメンバーとクルー・・・ここに映し出される映像からは、本物だけが持ちえる説得力が異様なほど生々しく伝わってくるのだから。

ムンバイからサンチアゴへ、LAからシドニーへ、東京からサンパウロへ、ブエノスアイレスからトロントへ――。アイアン・メイデンと世界を巡る“666便”のすべてを味わい尽くせる貴重なファーストクラスは、あなたのために、まだ空けてある。