Yes

1967年ベーシスト、クリス・スクワイアとボーカリスト、ジョン・アンダーソンの二人の出会いからイエスの歴史は始まります。
二人は新しいバンド結成を目指し作曲を始めます。参考にしたのはサイモン&ガーファンクルの美しいハーモニーだったそうです。
トニー・ケイ(オルガン)、ピーター・バンクス(ギター)、ビル・ブルーフォード(ドラムス)が集まり、1968年1stアルバム「Yes」リリース。プログレッシヴロックというよりサイケなアートロックでした。まだ荒削りな部分はあったものの複雑なハーモニーと適度に制御された演奏は未来のイエスを予見させるのに充分でした。
その後、ギターがスティーブ・ハウ、キーボードがリック・ウェイクマンにメンバーチェンジ、いわゆる「黄金期のメンバー」になります。二人の卓越した演奏力とセンスが加わりイエスサウンドが確立したのです。
このメンバーで1971年「こわれもの」1972年「危機」をリリース。2作ともイエスの代表作と言われています。
「危機」リリース後にドラムスがアラン・ホワイトに代わっています。

度重なるメンバーの出入り、分裂、集結などを繰り返しながらもバンドとしてのイエスは続いていきます。1983年には大胆にダンスビートを取り入れた「ロンリーハート」が大ヒット。現在でもワールドツアーを遂行し、アルバムをリリースしてファンを喜ばせています。
しかし、結成時からイエスを支えてきた不動のメンバー、クリス・スクワイアが2015年6月に死去、バンドの行方が心配されましたがかつてメンバーだったビル・シャーウッドが参加しイエスを続けていくことが発表されました。

最初に聞くならこの一枚

こわれもの -Fragile-

1971年にリリースされた4枚目のアルバム。
本作からキーボードがリック・ウェイクマンに交替。
バンドでの演奏が4曲、各メンバーのソロ作が5曲という変則的な構成になっています。長尺なバンドの曲の間にソロの小作品が配置されインタールードのようになっています。ソロ作はメンバーの自己紹介的な意味合いもあるのですが、リックが加入して間もないないため充分なリハーサルができなかったという理由もあるようです。
前作から顕著になった変拍子・転調を取り入れた大作志向に鍵盤の魔術師リックが参加したのでクラシックの要素が加わりさらにシンフォニックなバンドに進化しています。メンバーはまだ20代前半という若さでした。

1曲目はイエスで一番有名な曲であろう「ラウンドアバウト」。イエスの魅力が全て詰まった1曲になっています。静かなアコースティックギターで始まり、スクワイアのゴリゴリしたベースとスネアがスコーンと抜けるブルーフォードのドラムが生み出すドライブ感のあるリズム、静と動を対比させたドラマチックな構成、計算されたアンサンブル、自由なインタープレイ、高度で複雑な演奏に乗る歌はポップで親しみやすいメロディ。アンダーソンのボーカルは天使のように美しくスクワイアとのハーモニーもぴったり。息をもつかせぬ展開にあっという間に8分が過ぎていきます。
最近ではTVアニメ「ジョジョの奇妙な物語」のエンディング・テーマに使われていたので耳にした事がある方が多いのではないでしょうか。

このアルバムでもうひとつのハイライトが「燃える朝焼け」。
こちらも静と動のコントラストが鮮やかなナンバー。インストパートではメンバーのテクニックが炸裂、ボーカルパートはドラマチックにシンフォニックに進行。変拍子、ポリリズム、リズムチェンジ、転調、そして美しいハーモニーなどイエスサウンド満載。「イエスによる交響曲」とも言われています。この曲は車のCMで使われていました。

ジャケットのアートワークも注目です。ロジャー・ディーンの描いたファンタジックな世界は想像力をかきたてます。ディーンも本作から広く名前が知られるようになります。

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