どこまでも激しく、どこまでもラウドに。
いつの日もストイックなまでに己のサウンドを追求して来たlynch.。

2013年8月14日にlynch.の新作「EXODUS-EP」が届けられた。
ライブ活動を制限してまで作品の制作に精力を注いだという今作。
6曲収録のEPという形態ながらも、その中には今のlynch.のサウンドが凝縮されており、今後のlynch.の指標となる、まさに渾身の一枚となっている。

彼らならではのヘヴィ且つ疾走感溢れるサウンドは今作でも健在。
今回、バンド初となる悠介(Gt.)の手による楽曲「BE STRONG」が収録されている点にも注目だ。

この冬には東名阪でのZeppツアーも予定されているという。
lynch.の大きな魅力の一つはライブにあると言っても決して過言ではないだろう。
彼らから発せられるサウンドの熱量を是非ともリアルに感じてほしい。
今作「EXODUS-EP」を手に取ってライブに足を運んでみてはいかがだろうか?

Profile

Vocal:葉月(Hazuki)
Guitar:玲央(Reo)
Guitar:悠介(Yusuke)
Bass:明徳(Akinori)
Drums:晁直(Asanao)
オフィシャルサイト

lynch.「EXODUS-EP」インタビュー

※取材日は2013年7月17日。取材時点では「EXODUS-EP」は発売前。

ではまず最初に2013年8月14日に「EXODUS-EP」がリリースされますが、完成した今のお気持ちから教えて頂けますか?

葉月:まだ盤が出来上がって来ていないので、全部終わった!っていう気はそんなにしていないんですけど、まぁ、ホッとしたというか、やっと終わったなみたいなところですかね。達成感っていうのはやっぱり盤が出来て、ジャケットが出来て、手元に来た時に味わえるので、まだそこまで行ってないですね。

まだ、じゃあ・・・。

葉月:作業しないで良くなったみたいな(笑)、ホッとしている感じです。

なるほど(笑)、2013年3月2日に行われたZepp DiverCity TokyoでのライブのMCで、ライブ活動を制限してまでも、このアルバム制作に精力を傾けるということを発表されましたが、そこに至る経緯を教えて頂けますか?

葉月:去年一年、2012年度って言うんですかね、その一年が僕にとってすごく模索の年で、lynch.っていうのは何をやるべきなのか、どういうバンドであるべきなのかって、すごく考えながらいろいろやっていたというか、その中の一つが「LIGHTNING」でもあったし、「BALLAD」でもあったし、そして年末ぐらいにようやく自分の中で見つかったというか、だんだん形になって来たんですね。元々、初期の頃はダークで化粧も目の回りを真っ黒く塗って、衣装を着てやってまして、そういった部分を割と弱点のように感じていたところがあって。普通のロックバンドとして勝負して行く上で、ビジュアル系でしょっていう一言で片付けられてしまうのを恐れて、そういう部分を取り払ってた時期があったんですけど、よく考えると、それは弱点じゃなくて、普通のロックバンドから見たら特殊な部分であるというか、それは武器に出来るところだなって。じゃあ、lynch.はどうあるべきか?ハードであるべき、そしてメロディアスであって、そしてダークな世界観を武器にするバンドであるべきだっていうところにたどり着いたんです。次はその方向で取り組もうかっていう話をメンバーともしたんですが、その時は曲もまだ全然出来てなかったし、ただテーマだけが上がっていたので、これはよっぽど集中してやらないと出来ないぞ思った事が大きいですね。ライブに関しても人前に出て行くと自分達の姿なりっていうのも見せなきゃいけないので、今までの雰囲気からガラッと変えるっていうのはなかなか難しいし、一回みんなの前から姿を消そう、また現れて来た時にガラッと変わって、新しいlynch.というものをバンッと打ち出そうと思ったんです。そういういろいろな理由がありつつ、一応2013年3月2日に活動を止めて制作活動に専念したっていう流れですかね。

そこで今回の作品はギュッと凝縮して少数精鋭みたいな感じでこの6曲にしたのかなって思ったんですけど。

葉月:そうです。まぁ、アルバムとなると尺が長いので、結構バランスを取らなきゃいけないというか、いろんな面を見せないと飽きてしまうじゃないですか。そこで今回は本当にやりたいことが明確に固まっていたので、それを集中的にやりたいなと思ったんです。ダークでハードであるというもの、まぁ、一曲だけ歌モノが入ってるんですけど、それ以外は完全に、悪い言い方をすればどれも一緒かもしれないし、良い言い方をすればとてもまとまっていて、どういうバンドかわかりやすいものにしたかったから、逆に曲数を絞って、極端な作品にしようと思ってEPにしましたね。後はやっぱり値段的にも手に取りやすいというか、lynch.の作品を聴いたことないですっていう人に聴いてほしいんで。僕自身も知らないバンドのCDを買う時にEPって結構嬉しかったりするし、アルバムをフルで聴く時はやっぱりちょっと多少の覚悟はいるというか、時間がないと全部聴けないじゃないですか。そういう意味でもEPだったらサラッと聴けるし、安いし、結構自分的にも人のEPとか好きなので、良いんじゃないかなと思って。

なるほど、前作はフルアルバムだったので、やっぱりフックという形にはなりますよね。

葉月:そうですね。その予想のバランスを今回はあまり取りたくなかったというか、もう、こうです!っていうか、これしかないです!みたいな感じで行きたかったから、敢えてこのサイズで。

確かに聴きやすいですよね。

葉月:そうですね。すぐ終わると思うんですけど。15分位で終わっちゃう(笑)。

いやいや、そんなことないですよ(笑)。

葉月:(笑)。

個人的には葉月さんの歌モノがとても好きなんですよ。色気があるんですよね。

葉月:ありがとうございます(笑)。

いつも作詞は葉月さんが書かれていらっしゃいますが、今回も全て葉月さんですよね?

葉月:そうです。

今回は詞を書かれる時はどんなイメージで書かれたりしましたか?

葉月:曲によりますけど、僕は、歌詞を書く時って分かりやす過ぎる言葉遣いがあんまり好きではないんですよね。メロディーが聴こえる前に言葉として頭に入って来てしまうのがイヤで、日本語で歌詞を書く場合は割とちょっと抽象的にしたりとか、ワザとわかりにくくしたりとかするんですけど、今回は英語が多いので本当に自分の生き様というか、そういう考え方みたいなものを全部ぶっちゃけて書かせてもらいました。英語がわかる方からしたら、同じように言葉で入って来るのかもしれないですけど(笑)、まずメロディーとして入って来るっていうのが良くて英語を使っているんですけど、でも空想の物語であるとか、そういうものは今回は一切ないですね。全部自分の信念というかそういうテーマばっかりかな。

確かに対訳を見ると殻を突き破ろうという感じの姿勢が窺えますよね。

葉月:そうですね。まぁでもそれは常に思ってることではあるんですけど、今回は特にそういうものばっかりあったというか。

なるほど、今回はレコーディングの時は苦労されたりとかはあったんですか?

葉月:楽曲は苦労しましたけど、それはいつものことですね。 今回だから特にっていうのはあまりないですけど、今回は初めて僕以外のメンバーが曲を書いていて、悠介君が作った「BE STRONG」っていう曲が4曲目に入ってるんです。その歌を録るのが難しかったですね。

そうなんですか?

葉月:自分で付けたメロディーじゃないんで。

あぁ、なるほど、それは難しかったりするものなんですか?

葉月:やっぱり人のメロディーだと難しいですね。自分以外の作曲の曲は初めて歌った気がします。

そうなんですね。では大体その点ぐらいで後はそんなに苦労がなくという感じですか?

葉月:まぁ、後は変な話いつもと一緒というか(笑)、毎回苦労してるんで、いつものように苦労している感じですね。後は今回ドラムをひたすら音にこだわって、とにかく重くヘヴィに聴こえるようにっていうのは意識してましたね。

なるほど、今回のこの作品はある意味、lynch.のバンドとしての記念碑的なポジションになるのかなっていう気がしますね。

葉月:そうですね。でも全然これが全てじゃなくて、僕的には次がメインディッシュになると思うんですけど。まずはこのEPが入口みたいな感じですかね。

「MIRRORS」の時もlynch.を知らない人に手に取ってほしい作品だったんですけど、今回もまた新しい一面としても知らない人にも手に取ってほしいですよね。

葉月:もちろんそうですね。

そして今回、限定盤の方にはDVDが付いてるんですが、このDVDの内容の方も教えて頂けますか?

葉月:3月2日のZepp Diver City TOKYOでのライブから11曲をこちらで選ばせてもらって入ってます。特筆すべき様な事は、まぁ、特にないんですけど(笑)、普通のライブDVDです(笑)。

(笑)、まぁ、でもライブに定評があるから、こういう感じですよって見てもらうには良いですよね。

葉月:そうですね。やっぱりライブに来てほしいし、「EXODUS-EP」を聴いて、たぶんただ家で聴いて楽しむだけで終わる人って少ないと思うから(笑)、CDを聴いたら大体ライブに行きたくなると思うし、そういう人に見てもらいたいというか、こういうライブやってますっていう、教科書じゃないけど、そういう感じなのかな。でも内容としては至って普通のハイクオリティなライブDVDですね(笑)。おまけだからと言って、全然手抜きとかじゃない内容です。

11曲って結構すごいですよね。

葉月:そうですね。

そして今回ってもうツアーが始まってるんですよね?

葉月:そうです。

普通だとリリース後にツアーが始まるパターンが多いですけど、新作のリリースを前にしてツアーが先に走ってるので珍しいですよね。

葉月:バンドを始めた頃っていうのはCDなんて出せないから、まず曲をライブでやって、ファンの子が覚えて行って、「あ、CD出た。この曲入ったんだ」みたいなのがあったと思うんですね。今回はその感覚に近いものをやりたくて。今のツアーでは「EXODUS-EP」の曲をほとんどやってるんですけど、段々回数を重ねるにつれて、ファンの子達の反応も変わって来てるし、どんどん曲を覚えて来てて、そういうのがすごく楽しいなと思ってます。SHIBUYA-AXのライブは「EXODUS-EP」の発売後なので、またちょっと違うとは思うんですけど、「EXODUS-EP」の中で1曲だけまだやっていない曲があるんですよ。それはたぶん唯一、AXだけでやることになると思うので、しっかりCDを聴いてきてもらいたいです。

今回のSHIBUYA-AXは2日間ですものね。

葉月:2日間ですね。まだどうしようとか何も考えてないですけど(笑)、何か良い意味で意気込みが変にないのかもしれないですね。普通にやるものとして考えているというか。それこそこの間、札幌でBESSIE HALLという250人キャパのライブハウスで2daysやったんですけど、それと同じような感覚というか(笑)、単に場所が東京なだけで、大きい会場だけどライブハウスとして激しいライブをガツッとやるっていうぐらいですね。

私は札幌出身なので昔、BESSIE HALLに行ってましたが、あそこと同じ感じってすごいですね。

葉月:うん。そういえば、こないだ僕、あそこで初めて熱中症になりました。あそこは日曜日は空調が効かないんですよね。空調無しでソールドアウトの状態でやって、初めて熱中症になりました。

ヤバイですよ!

葉月:ヤバイっす(笑)。

あそこはすごい狭いですからね。

葉月:うん、でもAXもその感じでやりたいなって感じですね。

熱中症には気をつけて頂きたいですね。

葉月:(笑)。

それでは敢えて語るならば今回の「EXODUS-EP」はどんな人達に聴いてもらいたいですか?

葉月:まぁ、生きてる人全員に聴いてほしいんですけど(笑)、今回面白いのがターゲットを本当の意味で広く持ったというか、ビジュアル系が好きなバンギャルと言われる子達にも世界観的にすごく響くと思うし、そして真逆のラウドロックであるとか、ヘヴィメタルのファン、いわゆるキッズって言われる子達にも、こんな世界観を持ったラウドロックもあるんだよっていうことで響くとも思うし、当然それ意外のジャンルのリスナーの方達にも響く人には響くと思うし、難しいんですけどね。割と自分の中でやっと自信を持って他にはないものが出来たって言えるものが出来た気がしているので、とりあえず聴いてもらって良いっすかみたいな感じですかね(笑)。

(笑)、まずは偏見とか固定観念とかを取っ払って聴いてほしい気がするんですよね。

葉月:うん、ビジュアル系がキライな人にはそうですね。まず取っ払って聴いてほしいし、好きな人にもlynch.ってもうビジュアル系じゃないんじゃないの?みたいな(笑)、そういうふうに思ってる人にも聴いてほしいです。

では最後にファンのみなさんに向けてのメッセージをお願いします。

葉月:年末に東名阪でZeppツアーが決まりましたので、とりあえず僕らはそこに向かって今年一年、ガツッと突き進んで行くので、成功させるには是非みなさんの力がないとまず無理だと思っています。是非「EXODUS-EP」を聴いてちょっとでも響いた方は遊びに来て頂きたいなと思っていますので、よろしくお願いします。

ありがとうございました。

葉月:ありがとうございます。

text by Takahashi