フランクフルト放送交響楽団(ドイツ語名称はhr-Sinfonieorchester*、英語表記はFrankfurt Radio Symphony Orchestra)は、ドイツのオーケストラの中でも最も創意に富み、バロックから現代まで幅広いレパートリーに対応できる柔軟性を備えている。1929年の創立以来、数多くの演奏会や放送録音を通じ四半世紀以上にわたって、国際的に高い評価を得ているオーケストラである。世界的な指揮者や独奏者との共演を重ね、放送を通じて過去の忘れ去られた音楽を掘り起こして広く紹介するのみならず、同時代の実験的音楽へも積極的に取り組む一方、若い世代への音楽啓蒙教育にも力を入れている。 古典と現代の音楽両方を取り上げるという姿勢は創立時の指揮者、ハンス・ロスバウド(1929年?1937年在任)によって開始されたもので、その伝統は今日まで絶えることなく受け継がれてきている。ドイツが壊滅的な打撃を受けた第2次大戦後、クルト・シュレーダーおよびヴィンフリート・ツィリッヒの指揮の下で重要な音楽的メッセージを発信し続け、ドイツの音楽文化の復興に大きく貢献した。それ以来、ディーン・ディクソン(1961年?1970年)、エリアフ・インバル(1974年?1990年。1996年以来名誉指揮者)、ドミートリ・キタエンコ(1990年?1996年)、ヒュー・ウルフ(1997年?2006年)という代々の首席指揮者たちによってドイツ国外での名声を確固たるものにした。特にインバル時代には、ブルックナーの交響曲第3番・第4番・第8番の初稿版による初録音、マーラーの交響曲全曲の史上初のデジタル録音とで高い評価を得、続くウルフ時代には、オリジナル楽器演奏の手法を取り入れたハイドンやベートーヴェンなどの古典派のレパートリーに磨きをかけた。 2006年から首席指揮者の任にあるパーヴォ・ヤルヴィのもと、同時代音楽を網羅する幅広いレパートリーを紹介する一方、北欧の作曲家やロマン派?後期ロマン派の作品にも情熱をかけて取り組み、オーケストラにとって新たな時代を築きつつある。 2006年にフランクフルト放送交響楽団の首席指揮者に就任以来、パーヴォ・ヤルヴィは、フランクフルトでブルックナーとマーラーの交響曲を毎シーズン定期的に取り上げてきている。これは、インバル時代に同響のトレードマークとなったこの2人の交響曲作曲家に新しい光を当てたいというヤルヴィの強い意志によるものであり、今回RCA Red Sealから発売されるブルックナーの交響曲全曲録音もその成果の一つである。当シリーズでは、フランクフルト放送響の本拠地であるアルテ・オーパーで複数回行なわれる演奏会がすべて収録された上、さらに慎重なリテイク・セッションが持たれる方式で制作が進められており、いわばライヴ・パフォーマンスの興奮とセッション・レコーディングの精緻さとを兼ね備えた成果が刻印されている。また、ヤルヴィ自らがプロデューサーと放送局のスタジオにこもり、すべての録音の中から最終のテイク決めをするという、まさに徹底したこだわりを持って進められている。2009年4月の時点で、交響曲第3番(第3稿[ノーヴァク版]を使用)が録音済みで、2008/2009年シーズンには、交響曲第5番の収録およびヨーロッパ・ツアーでの演奏が予定されている。 (2009年4月) オフィシャル・ホームページ www.hr-sinfonieorchester.de (C)Sony Music Entertainment (Japan), Inc.


