顔も隠れるモジャモジャのカーリーヘアにコンチョ付きのシルクハット、愛器ギブソン・レスポールを自在に操りエモーショナルに紡ぎ出すブルージーなギター・メロディ。ガンズ・アンド・ローゼズのリード・ギタリストとして鮮烈なデビューを果たして以降、20年以上にわたってアメリカのハード・ロック・シーンを力強く牽引、揺るぎなき個性をいかんなく発揮して世界中のファンを熱狂させてきた天性のギター・ヒーロー、スラッシュが、久方ぶりにソロ活動を再開し、待望のニュー・アルバムを発表する!

「アイデアは当初、とても単純なものだった」

リーダー作としては、スネイクピットの面々を従えて2000年に発表した「エイント・ライフ・グランド」以来およそ10年ぶりとなる今回のアルバム。上に引いた本人のコメントのとおり、シンプルな発想からスタートしたというこのニュー・アルバムには、自身の名前「スラッシュ」がそのまま与えられている。しかし、クリス・チェイニー(ベース / ジェーンズ・アディクション)、ジョシュ・フリース(ドラムス / ナイン・インチ・ネイルズ他)を伴い約1年間にわたって続けられたスタジオ作業の成果は、ハード・ロックの世界を軽々と飛び越えて広がるまさに“一大プロジェクト”と言うべきものとなった。

「参加してくれたのは全員、俺が一緒に音楽をやりたいと感じ、共同で何かクリエイティブなものを生み出したいと思ったアーティストたちだ。彼らが見せてくれた実力にはとても感銘を受けたよ。みんな素晴らしい仕事をしようという意欲にあふれ、とても楽しくレコード制作ができた」

すなわち、今回スラッシュが実現させたのは、楽曲毎に異なるヴォーカリストを迎えて1枚の作品を完成させるという“オールスター・アルバム”的アイデアだった。マニアックなロック・ファンの中には、数年前にフー・ファイターズのデイヴ・グロールが実現させた夢のメタル・プロジェクト、プロボットのことを覚えていらっしゃる向きもあるかと思うが、前述のとおり、今回のスラッシュの人選は、ハード・ロック界を中心にしながらもジャンルを超えて音楽シーンを横断している点が大きなポイントとなっている。

アー写近影
最終的に「スラッシュ」に参加した豪華ゲスト・ミュージシャンの顔ぶれとトラック・リストは以下のとおり。

【ゲスト・ミュージシャン&トラック・リスト】

  1. ゴースト feat. イアン・アストベリー(ザ・カルト
  2. クルシファイ・ザ・デッド feat. オジー・オズボーン
  3. ビューティフル・デンジャラス feat. ファーギー(ブラック・アイド・ピーズ
  4. バック・フロム・キャリ feat. マイルス・ケネディ(アルター・ブリッジ
  5. プロミス feat. クリス・コーネル(元サウンドガーデンオーディオスレイヴ
  6. バイ・ザ・スウォード feat. アンドリュー・ストックデイル(ウルフマザー
  7. ゴッテン feat. アダム・レヴィーン(マルーン5
  8. ドクター・アリバイ feat. レミー(モーターヘッド
  9. ウォッチ・ディス feat. デイヴ・グロール(元ニルヴァーナフー・ファイターズゼム・クルックド・ヴァルチャーズ)/ダフ・マッケイガン(元ガンズ・アンド・ローゼズ~ヴェルヴェット・リヴォルヴァー、ローデッド)※インストゥルメンタル
  10. アイ・ホールド・オン feat. キッド・ロック
  11. ナッシング・トゥ・セイ feat. M.シャドウズ(アヴェンジド・セヴンフォールド
  12. スターライト feat.マイルス・ケネディ
  13. セイント feat. ロッコ・デルーカ
  14. ウィー・アー・オール・ゴナ・ダイ feat. イギー・ポップ《日本盤ボーナス・トラック》
  15. SAHARA feat. 稲葉浩志(B'z

ロック・シーンだけに留まらない多種多様な個性を備えたアーティストたちとの息の合ったコラボレーションにより、完成したアルバムにはヴァラエティ豊かなフィーリングが鮮やかに息づく。しかしそれでいて作品が少しも散漫な印象を与えないのは、強烈な輝きを発するスラッシュの優れた個性がアルバム全体をしっかりと包み込んでいるから。楽曲の端々、フレーズの端々に滲み出す明らかに特徴的な色合いは、過去20年以上にわたって様々な形で届けられてきた、ファンのよく知る紛うことなきスラッシュの音楽的トレードマークに他ならない。

いまだ進化を続けるスラッシュのエネルギッシュな才能が、ジャンルを超えて広がる新旧の才能と出会って完成した珠玉の一作。3月31日、いよいよその全貌が明らかとなる!