いわゆる芸能界的でもなく、ましてや民族音楽でもない良質なインディーポップがアジア各国で生まれている。ギターポップ、オルタナ、シューゲイザー/ドリームポップ、ヒップホップ、R&B、エレクトロニカ/アンビエント、AORなど音楽スタイルも様々だ。ミュージシャン達は国境を越え繋がり、各国でのフェス出演、ツアーを行っている。もちろん日本でも。こうした拡がりが可能になったのはまさしくネット時代だからと言えよう。そのような動きはアジアだけではなくアメリカ、UK&ヨーロッパ、オセアニアなど世界中がリンクしている。

Plastic Plastic(タイ)

(プラスティックプラスティック)

Pokpong Jitdee( G,Key,Vo,others )とTongta Jitdee( Vo,Key )の兄妹ユニット。2012年頃バンコクで活動開始。おそらく20代と思われるがすでに7年のキャリアがある。過去のビデオの二人は若いというより幼い。彼らは60~70年代A&M系の音楽をベースに様々な音楽を取り入れ良質なポップスを作り上げている。Tongtaの可憐な声で歌われるメロディは幸福感とともにどこか切なくなるノスタルジックな響き。デジタル楽器と生楽器の組み合わせも絶妙だ。今年の4月に待望の来日が実現。

Say Sue Me(韓国)

(セイスーミー)

2012年韓国釜山で結成された男女4人組。2013年にファーストアルバムリリース。ロンドンのレーベルとも契約、UK・ヨーロッパツアーを果たし、BBCでも頻繁にオンエアされた。ノイジーなギターサウンドから60’sポップスを自分達流に消化。ローファイなバンドサウンドに気怠くクールなチェ・スミのヴォーカルが重なりSay Sue Meが完成する。Yo La TengoやPavement、Seamといった90年代USインディーからの影響を公言している。カバーアルバムではヴェルヴェットアンダーグラウンド、ラモーンズ、ブロンディ―のナンバーを取り上げている。今年4月に初の単独来日公演が実現した。

Elephant Gym(台湾)

(エレファントジム)

2012年、台湾・高雄で結成された3人組のポストロック/マスロック・バンド。 日本のバンドtoeの影響から大きな影響を受けたと発言している。他にフィッシュマンズ、Spangle call Lilli Lineの名前も挙げている。テクニカルな演奏、複雑な構成の楽曲だか難解には感じずキャッチーでドリーミーな印象すらある。メンバーのTell Chang(G/Key)とKT Chang(B、Vo)は実の兄妹。注目はKTのキュートなルックスからは想像できない超絶テクのベースプレイだ。タッピングを中心とした自由自在なプレイはバンドを引っ張りなおかつメロディも担うバンドの要。基本的にはインストバンドであるがKTが歌ったりゲストを招いたヴォーカル曲にも取り組んでいる。新作には日本からKento NAGATSUKA(Wonk)とYeYeが参加。複数回の来日公演を行っているほか世界的なツアーも精力的にこなしている。

MARCOMARCHE (インドネシア)

(マルコマルシェ)

2012年ジャカルタでAsterina AnggrainiとDuta Pamungkasの男女2人で結成されたアコースティック・デュオ。2015年ファーストアルバム『Warm House』をリリース、その後Asterinaが抜けChintana Ayukinantiに交代。2人の爽やかなハーモニー、2台のアコギの緩やかな響き、優しくも凛としたメロディは森を吹き抜ける涼風のようだ。素朴さと洗練が同居した優しく心に響く音楽。90年代のSwan Dive、00年代のShe & Himを想起させる。2018年新体制によるセカンドアルバム『Down the Valley』を発表(日本未発売)。

Sobs(シンガポール)

(ソッブス)

2017年デビュー。セリーヌのキュートでエモーショナルなヴォーカルと爽やかでパワフルなバンドサウンド、メランコリックで光輝くメロディーが一体となった青春疾走インディーポップ。80’s90’sのUSインディーからの影響、同世代のUS・自国のインディーバンドからの刺激を受けながら音楽制作を続けている。レーベルの運営も行っていてシンガポールのインディーシーンの発展を支える重要な存在になりつつある。今年1月に来日、Sobs側のリクエストによりFor Tracy Hydeとのジョイントツアーが実現。

Easycome(日本)

(イージーカム)

2015年大阪で結成された男女4人組のポップバンド。2016年ファーストミニアルバム『風の便りを教えて』2017年セカンドミニアルバム『お天気でした』リリース。ギタリスト落合が作るノスタルジックでエヴァ―グリーンなメロディとリリカルな歌詞、真っすぐで伸びやかなちーかまの歌唱、シンプルながらこれ以上最適なアレンジはないと思われるバンドアンサンブル。聞く者の気持ち優しくしてしまうEasycomeの音楽。なによりも4人が音楽を楽しんでいるのが伝わってくる。現在大阪を中心に精力的に活動中。7月には待望のフルアルバムがリリース。

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