腰の痛みを忘れて没頭したいあなたに
みなさん、腰痛めてますか。長時間のデスクワークや重い荷物の持ち運びで腰にダメージを受けてませんか。
腰痛持ちの人にとって、長時間座っていることは苦行にも近い行為です。それでも素晴らしい映画に没頭しているとき、不思議と痛みを忘れている、そんな経験はないでしょうか。ストーリーへの集中が痛みの感覚を後回しにしてくれる、これは決して気のせいではないのです。
今回は、上映時間が長いことで知られる名作映画を5本ご紹介します。腰へのケアをしながら(こまめに姿勢を変えたり、クッションを使ったりしながら)、ぜひ自分のペースで楽しみましょう!

腰痛は冷や汗と共に
サタンタンゴ(1994年)
上映時間は驚異の7時間18分、438分です。
ハンガリーを代表する巨匠タル・ベーラ監督が4年の歳月をかけて完成させた1994年の作品。ガス・ヴァン・サントやジム・ジャームッシュが強い影響を公言するなど世界中で絶賛の声があがり、鑑賞すれば人生が変わるとまで言われました。
ストーリー自体は、経済的に行き詰まったハンガリーの寒村で、1年前に死んだと思われていた男が帰ってくるという知らせが村人たちに届く、というシンプルな構造です。
1カットが数分以上に及ぶ独特のテンポ感の催眠的モノクロ世界に身を委ねていると、時間の感覚が麻痺してきて腰の痛みを感じる隙もないほどの没入感を味わうことができるのではないでしょうか。
戦争と平和 全4部作(1965-67年)
第1部「アンドレイ・ボルコンスキー」から第4部「ピエール・ベズーホフ」まで、合計上映時間は約7時間4分。
文豪トルストイの原作小説を当時のソ連が国家の威信をかけて映画化した一大歴史ロマンで、トータルで420分以上にも及ぶ大作です。
戦闘シーンには12万人を超すエキストラが動員され、セリフのある役だけで559人の出演者が参加するなど、人類の映画史において空前絶後の規模で制作されました。本作はアカデミー賞外国語映画賞をはじめ、モスクワ国際映画祭最優秀作品賞など多数の映画賞を受賞しています。
4部作という構成なので、一気に観ても、1部ずつ日を分けて観ても楽しめます。腰痛持ちの方には、部ごとに区切って観るのがむしろ良いのかもしれません。
風と共に去りぬ(1939年)
上映時間は3時間52分、232分です。ほぼ4時間。
1939年製作のアメリカ映画で、主演はヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブル。南北戦争前後のアメリカ南部を舞台に、ジョージア州の大地主の娘スカーレット・オハラの力強い生き様と、彼女を取り巻く人々との愛憎が、鮮やかなカラー映像でドラマチックに描かれます。
製作期間3年、製作費395万7千ドル(当時)という巨費を投じた大作となり、第12回アカデミー賞では、主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)・助演女優賞(黒人俳優では初の受賞者となったハティ・マクダニエル)のほか、作品賞・監督賞・脚色賞など10部門を受賞しました。
アラビアのロレンス 完全版(1962年)
上映時間は3時間47分、227分です。ほぼ4時間。
英国陸軍将校でありながら、オスマン帝国からのアラブ独立闘争(アラブ反乱)を率いたトマス・エドワード・ロレンスの冒険と苦悩を描いた壮大なスペクタクル作品。
地平線の彼方の蜃気楼が次第に黒い人影となるまでの3分間など、名シーンとされる映像が随所にあり、その映像美だけでも腰痛であることを忘れさせてくれるでしょう。
七人の侍(1954年)
上映時間は3時間27分、207分です。途中に「休憩」が入ります。
黒澤明監督が1954年に発表した、日本映画の金字塔。三船敏郎、志村喬らが出演、野盗から村を守るために雇われた7人の侍と農民たちの物語を描いた作品です。
志村喬が仲間を集める前半で登場人物を一人ずつ丁寧に描き、それぞれのキャラクターをしっかり把握させてから、後半の緊張と解放が繰り返される激しい死闘、そして泥雨の中での最終決戦になだれ込む手に汗握る展開に、自分が腰痛であることが幻だったのではないかと勘違いさせてくれるかもしれません。
その独創的な物語のプロットのみならず、1つのシーンを複数のカメラで同時撮影する「マルチカム撮影法」や、本格的な望遠レンズの効果的使用、戦闘シーンのスローモーションなどの革新的な撮影技術も、その後の世界中のアクション映画、西部劇に多大な影響を与えました。
1954年のヴェネツィア国際映画祭では銀獅子賞を受賞し、後にアメリカで西部劇『荒野の七人』としてリメイクされました。2018年にBBCが発表した「史上最高の外国語映画ベスト100」では1位に選出されています。
