囲碁は、一般的に19×19の格子が描かれた碁盤に、2人のプレイヤーが、碁石と呼ばれる白黒の石を交互に置いていき、最終的には相手より多くの陣地を獲得することで勝敗を決するアナログなゲームだ。
将棋やチェスのように駒で「王」を詰んでいくわけではなく、碁石で囲んだ陣地を如何に多く獲得するかというゲームなので、ルールからしていささか前者2つよりは複雑な印象を受ける。

碁石を置いて良い場所、置けない場所を判断する部分からして筆者にはよくわからないのだが、確かに子供のうちから学べば、そういった基本的なルールを覚えるのも早いだろうし、論理的思考や集中力、攻守の決断力などを鍛えるのにちょうどいい練習になるのは確かだろう。
もちろん、将棋やチェスでもいいのだが(笑)。

囲碁と言えば、一時期TVアニメの「ヒカルの碁」で大ブームが巻き起ったのが記憶に新しいが、放映終了の宿命なのだろうか、あまり話題にならなくなったのが残念なところである。
そんな中、福岡市のこうした取り組みで子供達が学べる環境ができていて効果が現れつつあるというのは、素直に喜ばしいことだ。
そして「星空のカラス」のような、少女マンガの分野でも囲碁を題材した作品が出てきている。
マンガやアニメから囲碁に興味を持つのもありだろう。最初の興味は、なんだって良いのだ。

こぼれ話。
囲碁から生まれた言い回しなども多い。

  • 下手を打つ=囲碁の対局で良くない手を打つことが、良くない意思決定をして失敗することを意味するようになった。
  • 白黒付ける=碁石の「白」「黒」を用いて勝負し、どちらが強いかが明確になる。つまり勝敗をはっきり付けることを意味するようになった。
  • 八百長=八百屋の長兵衛(通称八百長)が、相撲の親方と碁を打ち、常に一勝一敗になるように細工してご機嫌を取ったことから、転じて競技において、あらかじめ対戦者と示し合わせ真剣勝負しているかのように見せかけること。
  • 駄目=自分にも相手の地(陣地)にもならない「目」から転じて、役に立たないことやそのさまを言う。

など、気が付かないうちに使っている言葉にも囲碁が絡んでいることにも驚く。

その他、囲碁の中央(天元)を「北極星」に見立て、碁盤に宇宙=天文をイメージすることから「天文学」や「占い」、それを「読む」ことで「兵法」などに使われた歴史もある。
囲碁を絡めた映像表現で、碁盤と宇宙が重なり合うイメージが描かれたりするのは、ある意味昔から行われてきた、とも言える。
直接的には関係があるともないとも言い切れないが、2012年に劇場公開までされた「天地明察」の主人公・渋川春海(碁打ちの名門・安井家の出)が、やがて日本初の国産暦(貞享暦)を作り上げ、改暦の実現を成し遂げることも、囲碁との関わりを最初から持っていたからかもしれない――などとも思ってしまう。
(ちなみに、渋川春海(安井算哲)は2012年、第9回囲碁殿堂入りとなっている)

それほど実際に生活に浸透していたりするので、囲碁に纏わる周辺知識も子供達には興味深い・・・かもしれない(笑)