芥川賞受賞作(2作)
「ニムロッド」上田岳弘
お前が課長になって掘るんだよ、金を。社長に指示され、新設の採掘課でひとり業務を担う。酔いの回った僕の頭の中には、暗い穴倉でライト付きの黄色いヘルメットを被り、大きなツルハシを担いで立つスーツ姿の自分が浮かんでいた。欲望の渦で混沌とする世界の先に、何が待ち受けるのか。「1R1分34秒」町屋良平
デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、変わり者のウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく――。直木賞受賞作
「宝島 HERO's ISLAND」真藤順丈
英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。少年少女は20年の時を経て同じ夢に向かう。米軍統治下の沖縄を嵐のように駆け抜ける、青春と革命の一大叙事詩!第160回芥川賞候補作一覧(掲載誌)
上田岳弘「ニムロッド」(『群像 2018年12月号』)町屋良平「1R1分34秒」(『新潮 2018年11月号』)
鴻池留衣「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」(『新潮 2018年9月号』)
砂川文次「戦場のレビヤタン」(『文学界 2018年12月号』)
高山羽根子「居た場所」(『文藝 2018年冬号』)
古市憲寿「平成くん、さようなら」(『文學界 2018年9月号』)
第160回直木賞候補作一覧
真藤順丈「宝島 HERO's ISLAND」今村翔吾「童の神」
垣根涼介「信長の原理」
深緑野分「ベルリンは晴れているか」
森見登美彦「熱帯」