芥川賞受賞作 (2作)
「DTOPIA (デートピア)」安堂ホセ
舞台は南太平洋の楽園、ボラ・ボラ島。白人女性“ミスユニバース”を巡って10人の男が競う恋愛リアリティショー「DTOPIA」。Mr.L.A.、Mr.ロンドン、そしてMr.東京―やがてショーの視聴者たちは「自分だけのDTOPIA(デートピア)」を編集しはじめ、楽園の時間は膨張する。
「ゲーテはすべてを言った」鈴木結生
高明なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。若き才能が描き出すアカデミック冒険譚!
直木賞受賞作
「藍を継ぐ海」伊与原新
徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子。年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに「出会った」ウェブデザイナーの女性――人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。『宙わたる教室』『月まで三キロ』『八月の銀の雪』の著者による、心揺さぶられる全五篇。
第172回芥川賞候補作一覧
安堂ホセ「DTOPIA (デートピア)」鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」
竹中優子「ダンス」
永方佑樹「字滑り」
乗代雄介「二十四五 (にじゅうしご)」
第172回直木賞候補作一覧
伊与原新「藍を継ぐ海」朝倉かすみ「よむよむかたる」
荻堂顕「飽くなき地景」
木下昌輝「秘色の契り 阿波宝暦明和の変顛末譚」
月村了衛「虚の伽藍」
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