芥川賞受賞作 (2作)

 

「貝に続く場所にて」石沢麻依


コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。第64回群像新人文学賞受賞作。
 

「彼岸花が咲く島」李琴峰


記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。
 

直木賞受賞作 (2作)

 

「テスカトリポカ」佐藤究


心臓密売人の恐怖がやってくる。メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会う。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へ向かった。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年、土方コシモは、バルミロに見いだされ、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。

 

「星落ちて、なお」澤田瞳子


不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。この死により、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄が河鍋の家を継ぐ気がないのは明白であった。弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかっていて頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっているのだったが――。父の影に翻弄され、明治から大正を駆け抜けた女絵師の一代記。

 

第165回芥川賞候補作一覧(掲載誌)


石沢麻依「貝に続く場所にて」(「群像 2021年6月号」)



李琴峰「彼岸花が咲く島」(「文學界 2021年3月号」)



くどうれいん「氷柱の声」(「群像 2021年4月号」)



高瀬隼子「水たまりで息をする」(「すばる 2021年3月号」)



千葉雅也「オーバーヒート」(「新潮 2021年6月号」)

第165回直木賞候補作一覧


佐藤究「テスカトリポカ」



澤田瞳子「星落ちて、なお」



一穂ミチ「スモールワールズ」



呉勝浩「おれたちの歌をうたえ」



砂原浩太朗「高瀬庄左衛門御留書」



 

第164回芥川・直木賞受賞作品(2021年1月開催)



 

第163回芥川・直木賞受賞作品(2020年7月開催)



 

第162回芥川・直木賞受賞作品(2020年1月開催)



 

第161回芥川・直木賞受賞作品(2019年7月開催)



 

第160回芥川・直木賞受賞作品(2019年1月開催)



 

第159回芥川・直木賞受賞作品(2018年7月開催)



 

第158回芥川・直木賞受賞作品(2018年1月開催)



 

第157回芥川・直木賞受賞作品(2017年7月開催)



 

第156回芥川・直木賞受賞作品(2017年1月開催)



 

第155回芥川・直木賞受賞作品(2016年7月開催)



 

第154回芥川・直木賞受賞作品(2016年1月開催)



 

第153回芥川・直木賞受賞作品(2015年7月開催)